昨年度の解析より、カボチャの2種類のSRタンパク質とGreen fluorescent portein(GFP)との融合タンパク質を発現している形質転換シロイヌナズナは、非形質転換体に比べ、葉が不均一に出る、葉の形がおかしくなる、茎が伸びるのが早いといった形態異常を示すことから、過剰発現しているSRタンパク質によって、正常なスプライシングが乱されていることに起因していると考えられた。LSD、U1-70K、atSRp30、FCA、SF1タンパク質は、シロイヌナズナはオルタナティブスプライシングにより複数のバリアントとして存在することが報告されている。これらのスプライシングパターンを、ノーザンブロットおよびRT-PCRにより、形質転換体と非形質転換体で比較したところ顕著な差は見られなかった。現在、クローン化したSRタンパク質が、どのようなRNA配列を認識して結合するかを、SELEX解析で明らかにするために準備を始めている。 形質転換体の各組織の解析から、このSRタンパク質は根端組織では核だけでなく細胞礎質にも局在していることが明らかとなり、培養細胞の系から得られている細胞周期に応じて細胞内局在性を変化させるという結果と一致していることから、根端組織のような分裂活性の高い細胞において、局在性を変化させていることが示唆された。今後は、地上部の分裂組織における細胞内局在性の解析を進めていく予定である。また、非形質転換体に比べ、形質転換体は茎が細い表現系も示すことから、横軸方向における細胞数の低下、あるいは細胞伸長の現象が考えられる。この点においても、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡を用いて解析を行っていく。
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