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2001 年度 実績報告書

広塩性両生魚トビハゼをもちいた水・電解質代謝におけるプロラクチン系の統合的解析

研究課題

研究課題/領域番号 12740457
研究機関広島大学

研究代表者

坂本 竜哉  広島大学, 総合科学部, 助手 (10294480)

キーワードプロラクチン / 環境適応 / 浸透圧調節 / 腸 / プロラクチン放出ペプチド / 遺伝子発現 / 粘液細胞 / 魚類
研究概要

本研究の目的は、水・電解質代謝におけるプロラクチン(PRL)の役割を検討し、PRL作用の本質を明らかにすることにある。淡水、海水という水・電解質収支が逆の環境へ適応できる広塩性魚類をモデルとして、解析を行った。本年度においては、特に陸上にも適応できるトビハゼを用いて、以下の成果が得られた。
昨年度、下垂体外のPRLの発現が、同じ器官のPRL放出ペプチド(PrRP)によって局所的に制御されていることを示唆した。そこで、浸透圧調節器官である消化管のPrRP-PRL系を重点的に検討した。Northern解析では、腸の前部で、PrRP、PRLとも発現も高かった。この部分での、in situ hybridization、免疫組織化学により、腸上皮特に粘液細胞に、PrRPとPRLが共存していることを見いだした。広塩性魚類の消化管は、淡水中では粘液細胞に富む多重上皮である。しかし、海水中では細胞が脱落して単層上皮となる。また、哺乳類の腸上皮細胞の更新はアポトーシスによる。従って、これまでに得られた一連の成果から、腸上皮のPrRP-PRL系は、淡水中での腸上皮脱落の抑制、腸上皮細胞の増殖/分化に寄与していると思われる。
両生類変態時のPRLによるアポトーシスの抑制が明らかにされつつある。また、PRL受容体は、アポトーシスの抑制に重要なサイトカイン受容体スーパーファミリーに属する。さらに、PRLによる乳腺細胞の増殖も示唆されている。すなわち、アポトーシスの抑制や細胞増殖/分化は、PRLの基本的な作用であることが大いに考えられる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] T Sakamoto: "Medaka, Oryzias latipes, as a model for hypoosmoregulation of euryhaline fishes"Aquaculture. 193. 347-654 (2001)

  • [文献書誌] T Agustsson: "Growth hormone endocrinology of Atlantic salmon(Salmo salar) : pituitary gene expression, hormone storage, secretion and plasma levels during parr-smolt transformation"J Endocrinol. 170. 227-234 (2001)

  • [文献書誌] AP Seale: "Isolation and characterization of a homologue of mammalian prolactin-releasing peptide from the tilapia brain and its effect on prolactin release from the tilapia pituitary"Gen Comp Endocrinol. (in press). (2002)

  • [文献書誌] T Sakamoto: "Growth hormone and prolactin expression during environmental adaptation of gobies"Fish Sci. 68(in press). (2002)

  • [文献書誌] T Sakamoto: "Regulation of the ion-transporting mitochondrion-rich cell during adaptation of teleost fishes to different salinities"Zool Sci. 18. 1163-1174 (2001)

  • [文献書誌] K Iwata: "Ureogenic function and periodic urea excretion in a gobiid fish, Mugilogobius abei"Fish Sci. 68(in press). (2002)

  • [文献書誌] X Wang: "Recent Advances in Comparative Endocrinology"JYu. 29-38 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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