研究概要 |
【アゲハチヨウ夏型ホルモンおよび蛹表皮褐色化ホルモン】 アゲハチョウに夏型ホルモンが存在するかどうかの検討を行い、アゲハチョウ非休眠蛹の脳-食道下神経節複合体にアゲハチョウの夏型ホルモンが存在することを証明した(Zool.Sci.,18)。更に、アゲハチョウ夏型ホルモンの部分精製を行ったところ、カイコガ脳内に存在するカイコガ夏型ホルモン活性物質と、各精製段階において同一分画に活性が認められた。昨年度行った、少量スケールでの精製過程の検討実験結果を踏まえ、アゲハチョウやキタテハおよびカイコガからの精製が可能であると考えられる。またキタテハ夏型ホルモンをアゲハチョウ休眠蛹に投与した結果、僅かではあるが活性が認められた。夏型ホルモン・褐色化ホルモン精製の出発材料であるアゲハチョウ非休眠蛹の脳-食道下神経節複合体を5,000個摘出し、凍結保存し、来年度の精製に向け準備中である。 【休眠蛹のオレンジ色蛹の発現調節に関わる内分泌学実験】 昨年度、休眠蛹のオレンジ色化因子の生物検定方法を確立したので、オレンジ化因子の諸性質を研究するため、また、部分精製に向けに、オレンジ色化因子が存在する短日終令幼虫の脳-食道下神経節-前胸神経節-胸腹部神経節連合体の摘出、凍結保存を行った。 別に、モンシロチョウ蛹の体色変化に関わる内分泌因子の検索を行った。その結果、脳内に、蛹の緑色化を促進する因子および褐色化を促進する因子の2種類が存在するのではないかということを示唆するデータが得られた。
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