ジフェニルメタノフラーレン単結晶におけるπ電子間のネットワークの存在を確かめるために、^<13>CCP-MAS固体高分解能NMRスペクトルによる解析を行った。試料回転数が通常測定に用いる4000rpmのときは、スピニングサイドバンドとの重なりが大きく、フェニル環に帰属するピークを分離することは困難であった。しかし、小径の試料管を用いて回転数を7000rpmまで上げたところ、スピニングサイドバンドが完全に分離され、フラーレン核とそれを包み込むように配置しているフェニル環との相互作用の存在がピークシフトから明らかとなった。 フラーレン付加体をフォトニクス材料として応用するため、フラーレンC_<60>とポリビニルカルバゾール(PVK)との新規な構造の付加体を合成し、その光伝導特性を評価した。準安定ラジカルで成長鎖末端を可逆的に停止したPVKを合成し、これをC_<60>存在下で定常加熱したところ、再生されたPVKの成長ラジカルがC_<60>にラジカル付加し、未反応のPVKとC_<60>を除去することによりPVK末端にC_<60>が1:1の割合で付加したPVK-C_<60>付加体が得られた。このPVK-C_<60>付加体をITO透明電極上にスピンコートしてフィルム成形し、さらに金を真空蒸着して光伝導セルを作成した。このセルを用いてN_2レーザーを励起光源としたTOF法により光伝導特性を評価し、PVKおよびC_<60>ドープPVKと比較した。PVK-C_<60>付加体においてもC_<60>ドープPVKと同様の大幅な光電流の増幅が確認できたが、同一フラーレン濃度で比較するとその効果は1オーダー小さかった。また両者に移動度における違いは見られなかった。
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