今年度は『異方性光学定数高速測定システムの開発』を目指した。 まず、考えている光学系で本当に異方性光学定数が測定できるかを確認するため、He-Neレーザー(波長632.8nm)からの光を偏光子に通して45°直線偏光として回転ステージ上のBK7プリズム-PDA-C_4UC_4膜の構造に対してプリズム側と空気側から同時に入射させ、反射した楕円偏光の光強度を検光子を通して検出する光学系が構築できるように各器材を揃えた。この光学系を用いて、(1)プリズム側から入射で回転検光子法測定、(2)空気側から入射で回転検光子法測定、(3)空気側から入射した光のプリズムを通って出てくる透過光の透過率測定、の3個の測定を順に行いPDA-C_4UC_4膜の異方性光学定数を測定できることを確認した。 次の段階として手動で回転させていた検光子にモーターを取り付け高速回転させて、(1)〜(3)の3個の測定を同時に行うことのできる光学系の構築を目指した。市販されている自動偏光子ホルダは高速回転よりも正確な位置決めに重点が置かれているためステッピングモーターが使われている。そこで高速回転できエンコーダにより回転角度を知ることもできるサーボモーターを使用して、検光子を高速回転できるようにホルダを自作した。この他に、光強度を測定するための高速デジタル電圧計、エンコーダからの位置情報を検出するためのエンコーダカウンタを用いることで回転検光子法測定が1秒以内で行えるようになった。現在、二つ目の自動偏光子ホルダを作製中で、これが完成すれば異方性光学定数の高速測定が可能になる。 来年度は、完成した異方性光学定数高速測定システムを用いて、PDA-C_4UC_4膜に対して光重合、光色転移過程における異方性光学定数変化をリアルタイム測定していく。
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