昨年度までに異方性光学定数高速測定システムは完成したので、本年度は実際にPDA-C_4UC_4膜の光重合過程における異方性光学定数のリアルタイム測定を行った。 異方性光学定数高速測定システムでは、プリズム上に作成した異方性薄膜に対して、45゜直線偏光の光をプリズム側と空気側から同時に入射させて、(1)プリズム側から入射で回転検光子法測定、(2)空気側から入射で回転検光子法測定、(3)空気側から入射した光のプリズムを通って出てくる透過光の透過率測定、の3個の測定を同時に行うことで、1秒以内に異方性光学定数を測定できる。 この光学系をHe-Neレーザーを用いて組み、PDA-C_4UC_4膜をキセノンランプからの紫外光を照射して光重合させながら、モノマー→青→赤→退色と変化していく過程での異方性光学定数変化を測定した。この結果より、モノマー膜に約2J/cm^2の紫外光を照射すると青色膜となり、約55J/cm^2照射すると退色することがわかった。また、異方性光学定数の値は、誘電率の虚部が最大となるところで膜面に平行方向の誘電率ε^<(‖)>=2.85+i1.98、垂直方向の誘電率ε^<(⊥)>=2.20+i0.085となり、その前後の変化する過程での値も決定できた。 しかし、吸収の少ないモノマー膜、退色膜では光学定数をうまく決定できなかった。これは、このような試料では反射楕円偏光の形が直線偏光に近くなり、このような場合、回転検光子法測定では測定誤差の影響が大きくなるためである。この改善策として、入射側に4分のλ板を追加して、入射光を円偏光として回転検光子法測定を行う方法がある。そこで現在は、測定する信号の形で入射光を45゜直線偏光とするべきか円偏光とするべきかを判断して、自動切換えできるように高速測定システムを改良中である。
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