研究概要 |
高度に発達した半導体製造技術を応用して、人血液の必要な分析を1チップ上で完遂できる医療用チップ(「ヘルスケアデバイス」)の開発に必要な要素技術の研究を行った。本年度に得られた結果を列挙する。 (1)石英高速高精度深堀エッチング技術の開発 NLD(磁気中線ループ放電)プラズマを用い、石英の深堀エッチングを行った。石英のドライエッチングは堆積性のガスを用いるため、チャンバー壁への堆積物の累積が再現性劣化の原因として指摘されていたが、深堀での長時間エッチングでこれが際立って問題となったため、堆積性の少ないC_3F_8+CF_4ガス系を用いた。また10ミクロン以上のエッチングで問題となる底面の荒れは、エッチング前に表面に存在する微小なごみがマスクとなり、(a)堆積物過多の条件では突起に、(b)サブトレンチや逆マイクロローディングが起こるような条件では孔に成長することが確かめられた。今回エッチング開始時にHigh Vdcを印加しマスクを除去するクリーニング過程を施すことによりこの問題を解決した。 (2)マイクロリソグラフィーを用いた分光器の製作 空間フーリエー変換型の分光器の製作を行っている。初期的実験として、導波路、CCDセンサー、干渉系組み合わせ、波長範囲400nm-700nmでの分光実験に成功している。 (3)各種センサーの集積化と評価 ISFETを用いたセンサーをチップ内に埋め込み、pH,Na+,Ca++,K+の測定に成功している。また白金センサーをチップ内に埋め込み、酸素、グルコース濃度の測定にも成功しているが、こちらは安定性に問題がある。
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