研究概要 |
電子パッケージの封止樹脂は環境中の水分を吸収する。これがはんだ付け処理過程中のはく離発生の重大な原因である。電子パッケージの健全性確保には,封止樹脂の吸湿の定量的非破壊評価が不可欠である。電子パッケージの湿度の測定には,従来,オーブン法が使用されている。しかしながら同手法では試験片の重さをオーブン処理前後で,すなわち二度測定することが必要であり,またオーブン処理には数日から数週間がかかる。本研究は,吸湿状態の電子パッケージにおいて湿度を直接測定できるオンライン定量評価手法の開発を目指す。本年度は以下の実績を得た。 1.基本的な湿度測定システムの構築 現有の設備を用いて,湿度測定システムを構築した。実験装置は,ベクトルネットワークアナライザ,パソコン,電動ステージ,センサおよびセンサ取付具からなる。さらに寸法の異なる同軸ケーブルセンサを用いて,使用周波数およびスタンドオフ距離を変化させ,最適なセンサ寸法,使用周波数,スタンドオフ距離を決定した。 2.封止樹脂の吸湿の測定および定量評価 種々の封止樹脂材料について,厚さ等の寸法の異なる封止樹脂単体の試験片を用いて,吸湿条件(温度,湿度,時間)を変化させ,試験片中を伝ぱするマイクロ波の反射率の振幅および位相を測定し,試験片の吸湿状況によって変化するマイクロ波の応答を解明した。さらにマイクロ波の反射率の振幅および位相と従来のオーブン法により評価される試験片の湿度から,マイクロ波による湿度の定量評価式を生成した。
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