研究概要 |
本研究は,ガスタービン翼等の高温部材の高効率化(高温化)のため付加される,しゃ熱コーティング(Thermal Barrier Coating,TBC)の熱サイクル損傷特性評価および評価法の確立を主目的としている.今年度はその一環として,熱サイクル付与によってコーティング試験片表面および側面で発生する損傷(垂直き裂および層間はく離き裂)の定量化に際して,科研費設備備品費により購入した(株)キーエンス社製高精細マイクロスコープVH-5000一式(設備備品費が当初予算額より減額されたため,購入物品を変更した)を,従来は走査型電子顕微鏡(SEM)にてしか行えなかった熱サイクル付与後の試験片損傷観察に適用することを試みた.熱サイクル試験としては,異なる二種類の雰囲気(大気雰囲気中および真空雰囲気中)での長時間高温保持(1000℃-22時間加熱,2時間冷却)熱サイクル試験である.またコーティングの種類としては,既に実機に適用されている二層構造コーティングに加えて,コーティング厚さ方向の組成が連続的に変化する傾斜組成コーティングを用いた. 適用し観察を行った結果,購入したマイクロスコープを用いてSEMと同程度の観察を行えることが確認された.そして,表面および側面におけるき裂密度・標準化き裂長さと熱サイクル繰返し数として整理し,評価・検討を行った.その結果,雰囲気の相違によって傾斜組成コーティングの熱サイクル損傷特性が顕著に変化することが明らかになった. 今年度予算は追加配分(10月末)であり,また予算減額による機種再選定に時間がかかったため,本研究結果に基づく論文は未投稿だが,来年度中に投稿および国際学会発表を予定している.
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