研究概要 |
球状粒子(直径6.3mm)が2次元的に六方最密充填された粒子群を粒状体とし,その粒状体に,球状飛しょう体(直径6.3mm)により,斜め衝撃および横衝撃(7〜15m/s)を加え,その現象を高速度カメラにより測定し,同条件下で行った離散要素法によるシミュレーション結果と比較した.その結果,実験結果における粒子の飛散挙動を,離散要素法を用いてシミュレートできることが分かり,さらに,粒状体の飛散メカニズムを,シミュレーションにより得られる速度ベクトルや接触力分布を用いて説明した. 1.斜め衝撃の場合,衝撃点を頂点とする三角形内に主に大きな接触力を生じ,容器底面の接触力分布においては衝撃点直下から少し離れたところにおいて最大値を取り,局所衝撃を受けた粒状体内には接触力の分岐を示す動的アーチングが生じていることが分かった.また衝撃点付近の粒子は,容器の底面で反射した接触力により上方向に押し上げることにより飛散し,容器の側壁付近の粒子は,横方向に伝ぱした波動が側壁に達した後,上方向に向きを変えることにより飛散することが分かった. 2.横衝撃の場合,衝突点付近では,粒子間の接触力が衝突点を中心に放射状に伝ぱし,粒状体表面に達した接触力により,その付近の粒子が飛散することが分かった.また,横衝撃の場合,伝ぱ距離が長くなるにつれて上下層に沿って伝わるようになり,接触力は主に横方向にのみ生じるようになった.しかし,これら粒状体内の波動の伝ぱ挙動は,粒子配列,粒子径および粒子形状などに大きく依存することも分かった. また,離散要素法の3次元への拡張を試み,理論の拡張およびプログラムの変更を行った.その結果,2次元配列と3次元配列では粒子運動の自由度および粒状体の空隙率や空隙構造に大きな違いがあるため,粒状体内の波動伝ぱ挙動に違いが生じ,飛散挙動が異なってくることが分かった.
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