研究概要 |
本研究における初年度の研究目標は,現在人工骨で有力視されているアパタイトセラミックスの生体環境での生体活性機能により,その表面に反応生成するアパタイト層の析出過程を組織構造と結晶性をキーワードに生体活性機能の把握をテーマとした.また,アパタイトが析出した材料における力学的特性を破壊抵抗から明確にし,き裂などの損傷を自然治癒することも含めた複雑な生体環境における材料設計の考え方を提案した.主な成果内容は,以下の通りである. (1)アパタイトセラミックスを常圧焼結法で作製する事を可能とし,核形成誘起を利用したバイオミメティック法を適用することで,生体溶液濃度の変化に対するin vitro環境下でのアパタイト層の析出をその表面に形成させることを可能とした. (2)上述の遂行を,実際のインプラント環境を模擬した流動式擬似体液環境システムにて,雰囲気制御により析出形成されたアパタイト層の表面析出反応を発生過程の空間的,時間的高倍率観察を通じ,析出反応のメカニズムを微細構造観察から明確にした. (3)これら析出層の存在状態を各種分析装置を用い総合的に把握し,生体活性機能に与える影響をin vitro濃度に対する析出反応速度に着目して前述の微細構造との関連性について明確にした. (4)各種in vitro濃度を変化させた析出材における力学的特性を破壊抵抗から明確にし,き裂などの損傷を自然治癒することも含めた複雑な生体環境における材料設計の考え方を提案した. 今後の研究の展開は,実際に長期間埋め込むことを想定し,歩行制御プログラムを導入した繰返し荷重付加によるin vitro疲労試験を実施し,長期間破壊せずに使用できるための疲労データの収集とin vitroが関与する疲労破壊およびメカニズムについて明らかにする.
|