研究概要 |
光ディスクやDVDに代表される記録媒体やレンズやプリズムはじめとする光学素子の製造法として高分子射出成形法がある.この技術は大量生産を可能とすることから製造コストの削減とにつながることから注目されている.しかしながら,従来の成形品とは異なり高い形状精度,機械的特性,光学特性といった高品位が求められている.本研究は高分子射出成形によってつくられる光学素子等の加工製品の評価を行うために,高分子材料の複屈折計測評価システムの開発を目的とする. 本年は最終年度として目的に挙げた2次元高速複屈折分布計測と微小空間複屈折分布計測を確立した上で,高分子射出成型品と複屈折との関連性を明らかにする.研究初年度に確立した高分子射出成型による光学製品の複屈折時分布を捕らえるため顕微鏡タイプの微小空間複屈折分布計測システムの開発をさらに発展させた.高分子射出成形の光ディスクや磁気ディスク等の動的状態での複屈折分布の計測を行うため高速計測法を確立した.具体的には,光学系としてはレーザ,ビームエクスパンダ,複屈折プリズムと偏光ビームスプリッタからなり,高速に変調を行うために2枚の液晶位相素子による位相シフターを試作した.また,サンプル・スライス法は試料の断層情報を得るため,これを直接短冊状にカットしていくものである.ここでスライス加工はダイヤモンドカッターを用いた切断機を自製するが,断面を計測するために残留応力を発生させないような手法を確立し,複屈折分布をとらえることができた.この手法によれば非破壊検査が可能となる. 以上のシステム化を踏まえて,以上の評価システムで実際に射出成形時における様々な材料,成形条件等について実験をおこない,複屈折と平坦度の関係を明らかにした.平坦度を悪化させる主な要因は温度分布であることを解明した.これによって高分子射出成形へのフィードバックの新たな知見を得ることができた.
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