研究概要 |
近年,SOI(Silicon on Insulator)やTFT(Thin film transistor)液晶ディスプレイ等の発達に伴い,絶縁体上に金属膜を形成する研究が盛んに行われている.金属膜形成法には多くの手法があるが,レーザ光を利用し,マスクレスで選択的に金属膜を形成する方法が多く研究されている.本研究は,ガラスの高い透過性を利用し,ガラス側からレーザ光を照射,走査することで線状に金属粉末を結合させ,従来の電気回路用プリント基板の代わりになるような電気回路基板の作製を目的とする.これにより,プリント基板のようなエッチング処理が不要にできる. 金属粉末には電気回路に応用することから主に銅を用い,他に融点の大きく異なるニッケル,アルミ,錫を用いる.基板には熱特性の大きく異なる3種類のガラス(ソーダガラス,パイレックスガラス,石英ガラス)を用いた.その結果以下のことを明らかにした.(1)アルミニウム,銅,ニッケルをソーダガラス,パイレックスガラス,石英ガラス上に結合させることができる.(2)アルミニウム,銅粉末では電気伝導性が認められるが場合があり,その値はそれぞれ0.017Ω/mm-0.64Ω/mm,0.0014Ω/mm-0.2Ω/mmであった.(3)結合力を測定したところ銅とソーダガラスの場合では照射条件により3N/mm^2以上の付着力があった.以上のことより,金属粉末をガラス上に堆積出来ることを明らかにし,付着力も実用上十分であることを明らかにした.今後,研究を進めることにより実用的な電気回路作成法を実現できると考えている.
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