研究概要 |
金型を利用した製造で生産性を向上させるためには,成型時における熱流制御の良否が鍵となる.この役割を直接担うのは,金型に加工される冷却管回路であり,上記の観点から曲線状に配置するのが最も望ましい.しかし,実際には冷却管はドリルで加工されるため,単一か複数の直穴で構成された折れ線状となってしまう.このような問題を解決するため,本研究では,放電加工機能を具備した自走機構を開発し,その自走機構に材料中を自在に進行させ,複雑な曲がり穴を加工するという新技術の開発を目的とした.今年度は以下に示す3点を具体的な目標として,研究を遂行した. 1.曲がり穴の応用分野調査 金型の冷却管配置だけではなく,油空圧機器の配管における圧力損失低減や機器の小型化など,流体機械関係に大きなニーズがあることが分かった.また,日刊工業新聞(平成13年1月23日付)にも掲載され,曲がり穴加工に対する関心の高さを実感した. 2.電極軌跡(=曲がり穴形状)に対する機構パラメータの影響調査 すでに開発していた電極曲率軌跡運動機構を用いて,電極の軌跡すなわち曲がり穴形状に対する,圧縮コイルばね(自走機構の胴に相当)自身のパラメータやワイヤ送り量などの影響を調査した.その結果,様々な曲がり穴形状が加工可能であることが分かった.また,この機構を応用し,従来の加工法では加工不可能な形状であるL字形曲がり穴やU字形曲がり穴の加工に成功した. 3.管内移動機構の開発 自走機構の足に相当する管内移動機構の具体的な設計および製作を行った.これを応用することにより,より長い複雑な曲がり穴が加工可能になると考えられる.
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