研究概要 |
難削材の1つであるチタンおよびチタン合金を対象にして,超精密切削加工の可能性を示した.さらに,超精密切削加工における微小な切削抵抗を検出することで,加工メカニズムを明らかにし,自動化生産システムに向けたセンシング技術を検討した.以下に,平成12年度の研究実績をまとめる. 1)アルミニウムなど軟質材料の超精密切削加工は,一般に灯油とダイヤモンドバイトを用いて行われている.チタンおよびチタン合金に対しても同様に加工したところ,加工物の仕上面は非常に粗くなり,条痕や付着物が観察された.加工後のダイヤモンドバイトすくい面を微分干渉顕微鏡で観察すると,溶解したように摩耗していた. 2)チタンおよびチタン合金に対して,不水溶性切削油剤をミスト供給しながら,コーディングバイトを使用して,超精密切削加工を行うと,数100nm(P-V)の仕上面を得ることができた.特に,α-β型チタン合金では,60nm(P-V)と非常に良好な仕上面が得られた.また,仕上面を腐食させることにより,結晶粒が明確に観察された. 3)バイトフォルダに圧電素子を埋め込み,素子からの出力電圧を増幅することにより,超精密切削加工時に発生する切削抵抗を検出することが可能となった.断続切削時における出力信号の大きさを比較検討すると,結晶粒が大きい純チタンにおいて最も大きな電圧値を示した. <発表論文> 1)安井平司,坂本重彦,川田昌樹:"α-β型チタン合金の超精密切削加工に関する研究"2000年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集,2000/10,pp.125. 2)坂本重彦,川田昌樹,安井平司:"チタン合金の超精密切削に及ぼす工具材料の影響"2000年度精密工学会中国支部・九州支部共催学術講演会講演論文集,2000/11,pp.7-8.
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