研究概要 |
単結晶は,材料の持つ電気的・光学的特性により半導体や情報産業などの各分野で使用されている.しかし,単結晶は結晶方向により機能が大きく変化するため,材料の持つ機能を最大にした上で素子に加工することが非常に重要な課題になっている.現状は結晶方位の決定と素子加工が別々の装置で行われているため,十分な角度精度保証を行っているとは言い難い.そこで研究では単結晶材料の中でも特に位相整合条件を満足する角度許容幅が狭い有機非線形光学結晶の機能を最大にする超精密加工法を確立することを目的に研究を進めている.具体的には,超精密切削により有機結晶を表面粗さ10nmRy程度の光学面に加工することが可能な超精密加工装置の上にレーザ光学系を搭載することで材料の機能を測定し,最適な結晶方位を決定した上で素子へ加工するものである.これまでの研究で装置の大部分は完成しており,本年度は材料に微少な角度変化を与える角度調整機構の改良を行った.角度調整機構の主な改良としては,ステッピングモータを組込んだゴニオステージと回転ステージを組み合わせることで2軸方向の角度制御を行えるようにしたことである.これにより,コンピュータ制御による自動位置決めが可能となる.本年度は,これらゴニオ・回転ステージを装置に組込むための装置の設計変更及び部品の製作を主に行った.また,それに伴いレーザ光学系の最適化も行った.また,本年度は上記ステージを組込んだ加工装置を用いて有機結晶の加工実験も行った.その結果,有機結晶を十分な光学面に加工できることを確認した.なお,この研究成果は2000年度精密工学会秋季大会学術講演会に於いて報告している.今後は,さらに詳細な実験を行うことで加工条件の最適化を行うとともに,機能を測定しながら最適な結晶方位を決定する一連の流れをコンピュータによる自動制御で実行できるように基礎的な研究を行う予定である.
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