研究概要 |
本年度は主にハンド単体での受動的緩衝性能向上を実現させる機構について検討を行った.以下に得られた結果を示す. 1.移動物体を把握する指節の形状について,従来直線形状であった指節の形状を折れ線形状とすることにより指節駆動部機構の占有面積を低減させることが可能となった.しかしながら移動物体の緩衝捕捉を行うための捕捉ストロークが,この形状では約40パーセント小さくなってしまい,捕捉時の物体作用力の最大値が大きくなってしまうことがわかった. 2.上記の問題点を解決するために,平行四辺形パラレルリンク機構の出力節を指節用リンク部とする屈曲指節形捕捉機構を提案し,さらに,このパラレルリンクに必要な二つの入力を,反転減速を可能とする歯車減速器を利用して,一つの入力で駆動できるように簡易化した.そしてこの減速器の減速比を適切に選ぶことにより,従来形捕捉機構に対して捕捉ストロークを約40パーセント増大させることを可能とした. 3.緩衝捕捉中の物体作用力については,受動的制御と能動的制御を考え,捕捉前半の慣性力が主体であり,制御が間に合わない部分においては,アクチュエータと指節との間に設けた運動伝達機構の速比を求め,これを目標速比として総合した機構を用いて受動的に設定力応答に近づける.また捕捉後半の粘性力が主体となる領域では,アクチュエータに電圧を印可させて粘性力を能動的に変化させることにより,物体作用力を制御する粘性力制御則を提案した. 4.2次元運動を行う対象物の捕捉時挙動を高精度に把握するために,CCDロングレンジ形レーザ変位計を用いて,対象物重心位置の実時間応答を算出する手法を考案した.
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