研究概要 |
企業における製品開発の目的を一言で表現すれば「必要な機能を満足して,最も経済的なもの」を開発することである.そのためには,コスト面を重視したモデルを構築し,最適化を通じて解を探索することである程度の結果をもたらすことが可能である.しかしながら,一般に一企業で単一の製品のみを取り扱うことは無く,多くの場合製品系列を取り扱っている.この場合,個々の製品で最適化を進めていけば,個々の製品における経済性を重視した結果を導くことはできても,製品系列として見た場合,非常に多くの無駄が含まれてしまい,全体としては経済性が損なわれている.その対策として共通部品を使うことで部品購入時のコスト削減,金型の開発費の削減などがはかられることはよく知られたところである.このような共通の基盤をプラットフォームと称し,プラットフォームを基盤とした設計が今後の製品開発では必要である.当然のことながら,プラットフォームを用いると個々の製品の性能は劣化する.性能の劣化とプラットフォームを用いることの便益はトレードオフの関係にあり,多目的最適化問題として定式化できる.プラットフォームの設定と個々の製品の性能劣化との関係はまさにポートフォーリオ問題として定式化されるものであり,本研究の目的は,プラットフォーム設計をポートフォーリオ問題として定式化することにより,プラットフォーム設計の利点を最大限に引き出すことを目的とする. 本研究では,多目的最適化設計の一元的な評価尺度としてデータ包絡分析法による設計の評価を行った.その結果,設計の多目的評価が一元的な尺度で可能であることが分かり,ポートフォーリオ定式化に供することを示した.
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