研究概要 |
本研究は,複数の非接触式センサを用いて実体モデルの形状を計測する複合型の新しい形状計測戦略法および獲得した離散的な形状(測定点)データに基づいた高品位CADモデル生成法を提案し,意匠金型用リバースエンジニアリング支援アルゴリズムの確立を目的としている. そこで,本年度の研究の結果,以下のことが得られた. 1)複合計測を考慮した高密度形状計測戦略法 これまでに開発してきた非接触式センサ(高速3-Dディジタイジングセンサ)により複合計測を考慮した高密度形状計測戦略法を提案した.本計測法は,センサのスキャン方向では高密度計測(1mm以下)を行い,スキャンライン間隔は比較的大きくした形状計測を行うため,測定点データが格子状に獲得される従来の高密度形状計測法より測定点データの総数を80%以下にすることも可能である. 2)測定点データに基づく自由曲面生成法および形状急変部の抽出法 獲得された測定点データに基づいて高品位な曲面を生成するため,スキャンライン上に獲得されている測定点データへ様々な形状が表現できるB-spline曲線をあてはめる.本あてはめ手法は,離散的な測定点データへ曲線論を適用して曲率を求め,曲率の大きい(形状の変化が大きい)場所に制御点を密に設定してあてはめ誤差の小さいC^2級自由曲線が生成できる.そして,すべてのスキャンラインに対してあてはめ処理を行い,測定点データへあてはめたB-spline曲線を境界曲線とするCoonsパッチを生成してC^2級の高品位自由曲面を生成する.さらに,パッチサイズを大きくした拡張パッチ曲面を生成することで,形状急変部の領域が抽出できる手法を提案した. なお,本研究で提案した高密度形状計測法,自由曲面生成法および形状急変部抽出法の有効性は,計算機によるシミュレーションおよび実際に実体モデルを計測して獲得した測定点データを用いた検証実験により確認した.
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