せん断流中における粒子のリサスペンション現象を、粒子群の三次元的な位置の検出と周囲の流れ場の同時測定によって明らかにすることを目的として、本年度は3台のカメラを使った同時計測システムの開発を行った。従来のビデオテープに録画する方式では、撮影時間は長くとれるものの、複数のカメラからの同時刻の画像を取り出すのに膨大な手間と時間を要する。したがって、本研究のような目的では、パソコンに複数のカメラからの同時刻の映像を直接取り込めるようなシステムが必要になってくる。そこで、奇数フィールドと偶数フィールドの露光時刻が同じで、かつ各フィールドの映像を2つの出力端子から同時に得られる2線式のプログレッシブスキャンカメラ3台を使用した。さらに、2線式に対応したフレームグラバ3枚を用意し、フレームグラバ間の同期をとりつつフレームグラバからカメラに同期信号を送るという新しい方法を採用することによって、3台のカメラからの同時刻の映像を直接パソコンのメモリに取り込むことに成功した。メモリ128Mbのパソコンの場合、連続して取り込めるフレーム数は約50枚であったが、メモリを増設すればさらに多くの画像を取り込むことも可能である。今年度は、静止流体中を浮上する複数の球群の運動と周囲の流れの計測に本システムを適用したが、運動が緩慢なため毎秒5コマ程度で取り込むのが最適であった。その結果、約10秒間の連続画像を得ることができ、現象の解析には十分な録画時間であった。2台のカメラの映像からステレオの原理によって球群の三次元的な位置を求め、もう一台のカメラで断面内の2次元的な速度場をPIVによって算出した。測定で得られた球の中心座標から求まるStokes解の重ね合わせと、PIVによって得られた実際の流れ場の差から攪乱速度場を算出し、これが有限個の粒子に対して粒子間の相互作用を表す指標になることを提案した。
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