研究概要 |
従来の動脈内の血流を対象とした研究は大半が大動脈を対象としており,細動脈や微細動脈を対象とした研究は数少ない.この原因は,血液中に含まれる赤血球の直径は8μm程度であり,直径が0.1mm以下の細動脈においては血液を均質と仮定できず,赤血球の取り扱いが難しいためと考えられる.均質な非ニュートン流体の流れを解く場合には,ずり速度と応力の関係を表す構成方程式を用いてレオロジー的挙動を記述する.しかし細動脈内の血流のように均質を仮定できない場合には,構成方程式の適用には限界があると考えられる.そこで本研究では,球とばね,ダンパを用いたモデルを流体内に多数混入し,構成方程式を用いずに血液の粘弾性的な挙動を表現することを目的として研究を行っている. 平成12年度は定ずり速度下における赤血球の運動の数値シミュレーションを行い,日本機械学会2000年度年次大会において「球とばねによる赤血球のモデル化と血液の定ずり流動解析」という題目で講演を行った.また,「球とばねによる赤血球のモデル化と血液の定ずり流動解析」という同じ題目で,日本機械学会論文集(B編)にも1編の論文が掲載された.このように,研究成果は順調に上がっている. また,今年に入り血液のポアズイユ流れの数値シミュレーションを開始しており,日本機械学会2001年度年次大会において「変形する赤血球モデルによる血液のポアズイユ流れのシュミレーション」という題目で講演を行う予定である.
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