研究概要 |
本研究は,液体窒素を作動流体とした極低温流体用小型高速遠心ポンプの定常特性およびポンプ起動・停止時の動特性を測定し,その際のポンプ内のキャビテーション挙動を同時に可視化することにより,極低温流体圧送用ポンプのキャビテーション特性とキャビテーション挙動との関係を明らかにするとともに,その結果を既存の水試験結果と比較することによって,極低温流体特有のポンプのキャビテーション特性を解明することを意図して計画されたものである。 本年度は,既存の供試ポンプ管路系および計測システムを液体窒素に対応させることに重点をおき研究が進められた。特に重要な改良点は,気化した液体窒素を液相と分離可能とした点,および極低温流体の変動流量をも測定可能とした点である。前者については,吸込タンクに内筒を設置し,内筒から気相を含有した液体窒素をオーバーフローさせることによって解決を図った。一方後者の問題については,液体窒素温度でも変動流量が計測可能なコリオリ式質量流量計を設置することによって解決が図られた。 実験装置の完成に伴い,作動流体として液体窒素を用いた実験が行われ,極低温流体圧送用ポンプの吸込・吐出し圧力,吸込・吐出し口温度,及び吐出し流量計測が可能なことを確認した。これにより,極低温流体圧送ポンプの定常特性,及び動特性の測定が可能となったため,今後,ポンプ内の可視化実験も含めて各パラメータ下における実験を行い,極低温流体特有のポンプのキャビテーション特性を解明していく。
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