研究概要 |
大気圧非平衡プラズマによる高効率物質変換プロセスの構築を背景として,プラズマ化学反応場のエネルギー輸送機構の解明,および反応場のガス温度計測システムの開発を目的に研究を行った. 本研究ではプロセスガスとして多用されるメタンを用い,プラズマで消費される電力のうちメタンの分解反応(吸熱反応)に有効に利用される割合や、熱として消費される分配割合を独立に評価した.その結果,投入消費電力の約80%が熱として両電極に伝達され,約10%がメタンの顕熱上昇分として観察された.一方,ガスクロマトグラフ(検出器:FID)によるガス分析結果から,メタン分解反応に有効利用された投入電力は約1.5%であることが明らかとなった.しかし,反応生成物(主としてエタン,エチレン)収率とC-H結合解離エネルギーから推算すれば,投入電力の少なくとも15%以上がCH,CH_2,CH_3などラジカル生成反応に有効利用されたことが明らかとなった. 大気圧非平衡プラズマでは,ストリーマと呼ばれる直径100μm程度の微細放電が時間・空間的にランダムに生成と消滅を繰返している.この微細放電内部のガス温度を,CHラジカルの回転スペクトル(^2Δ→^2Π:431nm)から得るガス温度計測システムを構築した.伝熱実験で得たメタンの顕熱上昇分から反応場の平均的なバルク温度上昇を推算すれば約30℃となる.これに対し,実際に化学反応が生じている微細放電内部のガス温度は約100℃以上上昇していることが本計測システムの適用により明らかとなった.
|