本研究の目的は、各種高分子材料のエキシマレーザー加工の機構が熱的であるかあるいは非熱的であるかとの問題に取り組むことにある。具体的種々の樹脂材料を対象とし、エキシマレーザー加工による分子構造の変化と純粋に熱的あるいは非熱的変化を加えたときの分子構造変化との比較を、FTIRデータ、分子量分布等の検討により行う。 本年度は交付申請書に記した研究計画に従い、まず樹脂材料の吸光特性を検討した。特に吸収が大きいためにこれまで定量評価の難しかった波長193nm(ArFレーザーの波長)における値の測定のために、測定対象樹脂を溶剤にに溶かし、出来た溶液を乾燥させることで厚さ数ミクロン程度の薄膜状のサンプルを作成し、実際のレーザー照射と紫外・可視分光光度計によりデータを取得した。また高速度ビデオシステムによる現象可視化とフォトダイオード+デジタルストレージオシロ(購入備品)システムによる飛散物質の時系列変化データ取得を可能な実験系を構築し、それぞれ現象を観察、低フルーエンスでは煙状の物質として飛散するのに対し、高フルーエンスになるにつれて燃焼をはじめ、さらに高い領域では瞬間的に激しく発光し以後何も観察されないようすが見て取れた。これより、それぞれのフルーエンス域で別々に検討を行う必要性が明らかとなった。 さらに次年度以降の分子構造分析の準備として、分子構造分析のための実験系の構築を行った。飛散した物質の構造分析が加工の機構解明にとって重要な要素と考えられるため、飛散物質を資料近傍に設置した窓材に付着、分子量・分光分析を可能とする実験系を構築した。
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