研究概要 |
本研究では,乱流場における蒸発液滴の空気抵抗力,蒸発過程,熱および物質移動現象を把握することを目的として行っており,Levitatorと呼ばれる音響効果を利用した油滴浮遊装置を用いる.Levitatorでは,超音波による音響場により液滴を浮遊させることができるため,ラグラジアン的に蒸発液滴の空気力学的特性,熱・物質移動現象を把握することができる.しかし,Levitatorは一般に市販されていないため,以下のようにLevitatorの専用設計を行った. ・超音波振動子には周波数,形状からランジュバン型振動子を用いる. ・周波数により,音響場の強さ,節(ノード)間隔(浮遊している液滴距離)も異なる.そのため,60kHzの超音波振動子を用いることで,節間隔は約2.8mmとすることができる. ・浮遊させている液滴の偏平率(形状)には,音響場の強さが関わる.そこで,超音波振動子に加える電圧出力を可変とすることで,音響場の振幅を変化させ,音響場を制御することができる. ・反射板(リフレクタ)にピエゾ素子を組み込むことにより,音響場を形成する振動子の電圧分布を把握することにより,音響場が液滴を浮遊している力の大きさを知ることができる. ・反射板(リフレクタ)位置を高精度に移動できるようにマイクロメータを持つトラバース装置を装置に設置する.さらに,このトラバース装置は取り付け位置を移動できるため,節(ノード)数を変化させることができる.初期状態では5個の節(ノード)を形成できるように設計した. ・超音波振動子の加熱を防ぐため,空気冷却口を取り付けた. ・Levitatorを他の装置に取り付けることも検討しており,装置を簡易,軽量に設計した. 以上のような専用設計を行い,Levitatorを開発することができた.
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