反応性自由表面に衝突する超希薄乱流予混合火炎の時系列解析

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12750171
• 研究機関: 芝浦工業大学
• 研究代表者: 矢作 裕司 芝浦工業大学, 工学部, 講師 (60265973)
• キーワード: 予混合火炎 / 超希薄燃焼 / 時系列解析 / 層状燃焼 / 乱流火炎 / ルイス数 / レーザートモグラフィー / 消炎

研究概要

空間的に非均一な乱れの場を反応性自由表面として取り扱うことが出来る層流と乱流の混合気を衝突させた対向流を流れ場として設定し、その火炎挙動を時系列的に解析して検討を加えた。本助成期間では、メタン/空気およびプロパン/空気火炎に対して消炎限界、よどみ流線上の流れの特性および火炎面の変動特性を調べた結果、以下の点を明らかにした。
プロパン/空気火炎の場合では、可燃限界濃度以下の超希薄混合気は火炎安定性の向上にほとんど寄与していないと考えられる。このことの原因としては、上下の火炎間距離がメタン/空気火炎と比較して相対的に離れているため火炎の相互作用が効果的に現れなかったことが原因であると考えられる。メタン/空気火炎では、乱流中においても超希薄混合気が、高温の燃焼ガスに衝突する事により発熱反応を起こす可能性があり、火炎安定領域の増加に貢献する条件ある。このことの原因としては、メタン/空気火炎の火炎間距離がプロパン/空気火炎に対して相対的に近いため上下の混合気の相互作用が現れやすいためであると考えられる。その領域では、上下の混合気が相互に影響を及ぼし消炎限界を決定する。メタン/空気火炎の場合でも乱流火炎では火炎安定領域が減少する。ただし、乱れによる火炎安定領域の減少する条件は、プロパン/空気火炎とメタン/空気火炎では異なる。プロパン/空気火炎では、上下の燃料濃度差が増加した場合に火炎安定領域の減少が顕著に現れるのに対して、メタン/空気火炎では、上下の燃料濃度が等しい条件で顕著に現れる。乱流火炎の火炎安定領域が層流火炎と比較して減少する。このことは、乱流燃焼速度の増加による火炎間距離の増加したことと乱れによる火炎面局所的な曲率による火炎伸張などの影響が加わるためであると考えられる。

研究成果

• [文献書誌] Masao TAKEUCHI and Yuji YAHAGI: "Extinction and Structure of Premixed Flame Formed in Opposite Flow with Interacting Lean and Ultra Lean Mixture"Task Leaders Meeting of the IEA Implementing Agreement Energy Conservation and Emissions Reduction in Combustion. XXII(in press). (2000)
• [文献書誌] Masao TAKEUCHI,Kunihito HAMAZU and Yuji YAHAGI: "EXTINCTION AND STRUCTURE OF INTERACTING LEAN AND ULTRA LEAN PREMIXED FLAMES FORMED IN OPPOSITE FLOW"Abstract of Works in Progress Posters the 28^<th> Symposium (International) on Combustion, The Combustion Institute. 28. 14-14 (2000)
• [文献書誌] 仁平広宣,矢作裕司: "燃料濃度の異なる対向流乱流予混合火炎の消炎と構造"第38回燃焼シンポジウム講演論文集. 38. 13-14 (2000)
• [文献書誌] 浜津邦仁,竹内正雄,矢作裕司: "酸化剤流に高温燃焼ガスを用いた拡散火炎の消炎と構造の数値解析"第38回燃焼シンポジウム講演論文集. 38. 47-48 (2000)
• [文献書誌] 中原伸吾,浜津邦仁,矢作裕司,竹内正雄: "高温低酸素濃度の酸化剤に衝突する拡散火炎の消炎と構造"第38回燃焼シンポジウム講演論文集. 38. 145-146 (2000)
• [文献書誌] 中原伸吾,矢作裕司,竹内正雄,浜津邦仁: "対向流中に形成される拡散火炎の消炎に及ぼす酸化剤加熱と不活性ガス希釈の影響"日本機械学会 関東支部 第7期 講演論文集. 7(印刷中). (2001)