研究概要 |
今年度は,静止流体中で回転する円周部に菱型のピンフィンを千鳥に配列したモデルに関する熱伝達を取り上げた.これまで研究してきた直線形状のフィンの場合,ロータ表面の流れに乱れが少なく,熱伝達の悪い部分が生じていることがわかっている.そこで,ロータ表面近くの流れと外気との更新を積極的に起こすことを期待して,菱型のピンフィンを千鳥に配列した真鍮製ロータモデルを用い,ロータ内側に埋め込んだヒータを直接通電加熱し,回転ロータ表面及びフィン内部の温度を計測し平均熱伝達率を算出した. 従来研究してきた,35度の迎角を持つ直線形状の傾斜フィンの場合と比べ,伝熱面積を揃えた場合,ピンフィンの平均熱伝達率は約2割低くなった. ピンフィンおよび直線形状のフィンの熱伝達機構を調べるために,粒子画像速度計測法(PIV)を用いてフィンの周りの流れ場の詳細な計測を行った.静止した座標系から回転する円筒部に配置されたフィンの周りの流れ場を計測した場合,平均的な流れを計測することはできるが,より詳細にフィンの周りを計測するために,回転する物体と静止したカメラの間に回転するプリズムを介することにより像を静止して観察することのできる回転像静止法と粒子画像速度計測法を組み合わせた. フィン周りの流れ場を詳細に計測したところ,ピンフィンの場合は,ロータの回転により発生する主流,乱れとも直線形状のフィンよりも弱いことがわかった. 今後は,回転に起因する流れをより積極的に利用できる形状について検討を進める.
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