半導体デバイス内の層間絶縁膜には、多くの場合、シリコン酸化膜が用いられる。しかし、膜表面形状としての品質(段差埋込性)、および電気絶縁性としての品質(膜質)において十分な性能が得られているとは言い難い。通常、このシリコン酸化膜は、CVD(化学的気相合成)により合成されるが、その方法が膜の品質を決定する重要な要因となる。本研究ではまず、大気圧またはその近傍減圧下でも、熱的・化学的に非平衡なプラズマの形成が可能となる誘電体バリア放電に着目した。そして、これを用いたリモートプラズマCVDに、TEOS(珪酸エチル)一酸素反応系を適用し、この時合成されるシリコン酸化膜の品質について検討した。 大気圧下で適切な合成条件が与えられた時、商用の低周波交流電圧印加の場合では、従来のTEOS-オゾン反応系CVDシリコン酸化膜に比較してそれ以上の高い膜質が得られるが、高い段差埋込性は得られない。しかし、パルス電圧印加の場合では、アスペクト比1以上の段差でも高い段差埋め込み性が得られるとともに、高い膜質も得られることができた。さらに、適切に大気圧より圧力を減少させれば(約80kPa)、低周波交流電圧印加の場合でも、高い膜質とともに高い段差埋込性が得られることができた。これは、パルス電圧印加、または圧力減少に起因した高換算電界強度によるプラズマ中の高い非平衡性が、高品質膜形成を促す膜前駆体物質を生成し易くしたためと考えられる。 次に、印加電圧方式に依存したプラズマの非平衡性に注目し、高周波交流(RF:13.56MHz)電圧印加によるプラズマCVDに、アセチレン水素反応系を適用することにより、炭素材料合成をも試みた。この結果、電圧にパルス変調を加えた場合、この時生じる過渡現象を用いてプラズマ化学反応制御することにより、炭素材料合成を最適化できる可能性があることを明らかにした。
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