本研究では、連続体の数値解析手法として使用される有限要素法を、リンク機構の制御に適用することを目的とした。系全体の状態を剛性方程式で表現し、部材の欠如や不良などに対しても剛性マトリックスを操作することで柔軟に対応できる有限要素法を、並列制御法として利用するメリットは大きいと考えられる。また、各節点に生じる節点力に基づいて制御トルクを算出するため、力の分担を考慮した閉リンク機構の制御にも適用できる可能性が大きい。本年度は、まず従来の制御理論との比較・検討を行い、有限要素法による制御理論の有効性について検証した。次に、リアルタイム制御を目指すために要素数の削減が可能なShifted Integration法を適用し、時間積分法として陰解法を用いて逆解析(目標位置到達)アルゴリズムを構築した。また、2次元開リンク機構に対する理論を3次元開リンク機構に対するものに拡張し、閉リンク機構に対するアルゴリズムの有効性についても検証した。次年度は、本手法によるマニピュレータ制御システム(申請予算により購入した制御用PC、DSPボード、直流電源、サーボモータ、リンクなどにより構成)を構築し、超冗長開リンク機構の制御実験、サーボモータの故障を模擬した制御実験および閉リンク機構の制御実験などにより従来の制御手法と比較・検討を行い、本手法の並列制御法としての有効性を確認する。
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