研究概要 |
本研究では,振動制御の機構としてスマート構造を用い,諸性能の向上を達成すべく,アクチュエータ形状/配置と制御の同時設計方法を提案・開発した.同時に,有限要素法(FEM)とモード解析法に基づく低次元モデル化法およびモード制御法を示し,実験による検証を行った.アクチュエータの適切な形状/配置を決定することは,少ない制御エネルギーで高い制振効果を得るために重要なことであり,アクチュエータ形状を含めた機構設計と制御系設計を融合する意義は大きく,高性能化の達成が期待できる.スマート化の基礎となるアクチュエータおよびセンサを圧電フィルムにより構成した.圧電フィルムは非常に軽薄な高分子材料であるため,取り付けが容易であり,柔軟構造のスマート化に適している.固定部を要しないセンサとして,圧電フィルムの他に加速度センサを用いる場合についても検討した.圧電アクチュエータの形状に関する設計変数を,制御対象のFEMモデルに対応する圧電フィルムの幅,配置に関する設計変数をFEMモデルの節点番号とした.H_2性能の向上を目指した設計問題を定義し,圧電フイルムアクチュエータの形状/配置と制御系を同時に最適化した.最適化手法としては,圧電アクチュエータ形状を設計変数とする場合は逐次二次計画法,配置を設計変数とする場合は遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた.シミュレーションおよび実験を行い,達成される振動抑制効果および同時最適化の有効性を評価した.さらに,提案した圧電アクチュエータ配置と制御系の同時最適設計法を磁気ディスクアームの制振設計に応用し,その有効性および実用性を検証した.
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