研究概要 |
本年度,溶湯搬送・注湯プロセスに関して,液面振動特性を明らかにし,さらに,搬送時や注湯時の残留振動を抑制し,液位変動に対するロバスト性を保証する高性能な溶湯搬送・注湯システムを実現した.また,注湯プロセスにおけるスロッシング挙動を解析するために,液面挙動シミュレータの開発を行った.以下に,具体的な研究内容を示す. (1)アドバンスト液体搬送システムの開発 制御目的に応じて,制約条件を付加できる多目的制御を適用した液体搬送システムの開発を完成させた.また,工場の空間をうまく利用するための,傾斜軌道を考慮した液体搬送システムの開発も行った.現在は,このシステムを3次元搬送軌道を考慮した搬送システムへ改良中である. (2)自動注湯システムの開発 注湯における波の動きを解析し,注湯装置である機械システムと溶湯(実験室では水を用いる)の流体システムの連成系となる注湯システムのモデリングを行った.最終的には,液位変動やセンサノイズ,モデル化誤差に対するロバスト性を保証した上で,スロッシングを抑制した注湯機内の湯の制御を行うアドバンストシステムを開発した. (3)自動注湯数値解析シミュレータの開発 流体の自由表面全体の挙動を解析できる分布常数モデルであるSOLA-MAC数値解析シミュレータを開発した.これにより,実現象をシミュレータ上にて,正確に表現することができ,実際に取り扱いの危険な溶湯などを用いずに,注湯システムの自動化、最適化について考察することが可能となった. (4)自走式自動注湯ロボットの開発 湯温の低下防止による品質の向上,生産ラインの効率化などを考慮し,型の搬送を止めず,かつ自動注湯機を型搬送に同期させた状態で注湯する自走式自動注湯ロボットのハード部分の開発を行った. 現在,注湯ロボットの制御システムを開発中である.
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