研究概要 |
本研究は,反発型磁気浮上車両の浮上ギャップ減衰不足問題を解決するために台車と車体間に二次支持系を設置した車両システムを2自由度非線形振動系と見なし,基礎の変位励振(軌道不整に相当)による系の振動特性を解析し,系が最も安定となる最適パラメーター組(台車・軌道間の磁気反発力によるばね定数,台車・軌道間の極めて小さい減衰係数,車体・台車間の支持ばね定数,車体・台車間の減衰係数,車体と台車との質量比,軌道の不整度など)の解明とその応用を目的としている.平成12年度は,本研究専用の数値計算アルゴリズム/プログラム(特に振動状態安定判別法の2自由度非線形振動系への拡張など)を開発し,それらを利用した数値シミュレーションを行い,磁気力を線形的に近似した場合と磁気力の非線形性を考慮した場合に分けて,系の各パラメーターがその振動特性に与える影響を総合的に調べ,最適なパラメーターの存在を解明した.その成果の一部は日本機械学会第9回交通物流部門大会(TRANSLOG2000)にて公表している.主な結論は次の2点である.(1)台車と車体の質量はなるべく同程度にすべきである.一方的に車体だけを軽くしたら逆に振動が大きくなる.(2)台車と車体の質量比が1より大きい場合と1より小さい場合にはそれぞれ最適パラメーター式は異なる.また,学術雑誌への投稿論文は現在作成中で,近い内に投稿する予定である.そのほか,平成12年度に予定していた実験装置製作準備(備品や部品の購入製作など)もほぼ完了した.来年度は,実験装置を完成させ解析結果を実験的に検証するとともに,最適パラメーターを利用した制御方法の開発も試みる予定である.
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