研究概要 |
本研究では,可変速可変ピッチ風力発電機に対して,風況に応じてピッチ角を能動的に変化させることにより,ロータの回転速度が常に風車出力が最大となるように制御し,風からのエネルギー獲得の高効率化を達成することが目的である.今年度の研究実績の概要を以下に記す. 1.実験装置の製作:ヘリコプターのテールローターに使用されているPCプレートの仕組みを流用して,可変ピッチ角機構を有する直径0.6mの2枚ブレード小型風力発電機を製作した. 2.出力係数の測定実験:作製した風力発電機のモデリングを行うため,出力係数を測定する風洞実験を行った.ピッチ角を徐々に変化させたとき,各々のピッチ角度に対して,本補助金により購入したトルクコンバータおよびトルク検出器などを用いてトルクと回転数を測定し,出力係数を算出した. 3.シミュレータの作成:測定した出力係数の値から出力係数を周速比とピッチ角の関数として多項式近似した.また,風力発電機の運動方程式における物理パラメータの同定実験を行い,SIMULINKを用いて製作した可変ピッチ風力発電機のダイナミクスに基づくシミュレータを作成し,モデリングの正確さを検証した. 4.シミュレーション:可変ピッチ風力発電機の出力最適化制御を行うため,Krsticの適応極値制御手法を応用し,定格風速以下では風車出力を最大化し,定格風速以上では定格出力に維持するような制御系を構成し,シミュレーションを行った.シミュレーション結果より,ピッチ角制御により風エネルギーから最大の出力を獲得していることが確認できた. 5.学会発表:今年度本研究に対して得られた成果を日本機械学会関東支部第7期支部総会講演会にて公表した. 今後の展開として,シミュレーションにより構成した制御系の有効性が確認出来たので,制御実験を行う.
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