研究概要 |
平成12年度は,以下の項目について調査・検討を行った. (1)マルチボディシステムのモデリング 非線形ネットワーク理論に基づき,マルチボディシステムのモデリングを行った.まず剛体ボディと各種(並進・回転)ジョイント等の要素モデルについて,運動学的,力学的関係を導き,双対な接続行列N,Bで表現する方法を提案した.ダイナミクスの定式化には,マルチボディシステムの数学モデルを構造的に把握した上で,ポアンカレ方程式を用いて行い,非線形微分代数方程式(DAEシステム)として組織的に定式化する方法を開発した. (2)スパースタブロー法による高速計算アルゴリズム 超LSI回路の解析等で用いられるスパースタブロー法をマルチボディシステムへ適用することを考え,そのための基本的なアルゴリズムの構築を行った.まず(1)で導出されたマルチボディダイナミクスの数学モデルについて,スティッフ安定な後退差分形式(BDF)によって時間微分項を差分化した上で,スパース行列処理を用いたニュートン法によって数値解を求めるアルゴリズムを提案した.この際,マトロイド理論に基づいて,DAEの構造化を行い,ニュートン法における逆行列計算過程を陽に展開する方法を開発した. (3)数値積分法と拘束安定化 後退差分形式(BDF)による方法に基づき,Baumgarteの方法,GGL法及び射影法について,拘束安定化を考慮した数値積分法について比較及び検討を行った.特に,マルチボディダイナミクスの解析に最適な数値積分法を設計するために,基礎となる微分代数方程式のインデックスによって数学モデルを分類し,拘束条件の安定化と計算精度の両面から検討した.
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