(1)制御性能条件の導出 目標軌道追従性の向上および操作角の飽和防止に関する条件の導出を行った。これらの条件を線形行列不等式で表現することに成功し、制御系設計を数値的に解ける問題に定式化した。これらの制御性条件の導出に関して、スケジューリングパラメータが観測可能であることを利用することでさらにシャープな条件の導出を行った。 (2)制御システムの構築とロボットの製作 ロボットの設計・製作を行った。駆動ロボットは操作可能なステアリングおよび移動のための駆動部を有するため、これらの機構設計と製作を行った。CCDカメラおよびポテンショメータにより位置情報を取り込み、ステッピングモータにより操作角を、サーボモータにより移動の制御を行う。 (3)制御系設計と実験 Parallel Distributed Compensationという概念を利用し、制御系設計を行った。とくに、(1)で導出した線形行列不等式条件を用いて、Parallel Distributed Compensationを凸最適化問題として定式化し、簡単にかつ効果的にフィードバックゲインを求めることに成功した。制御系設計用ソフトウェアによりシミュレーションプログラムを作成し制御性能条件の設計パラメータの吟味および制御系設計手法の妥当性を検討した。つぎに、作製したロボットを用い実験を行い、(1)で導出した制御性能条件の有効性を検証した。ここでは、目標軌道追従性、操作角飽和現象の防止などの効果を確かめた。また、実験を通して得られた問題点を整理し、ロボットの再設計・制御系の再設計を次年度に行う予定である。
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