研究概要 |
複雑な意思決定を要求される生産システムに対して、機械の行動を機械自身に決定させるいわゆる自律分散型の生産システムの構築を目的として、分散型のスケジューリング手法の検討を行う。本年度は、申請者が開発した再帰的伝播法と名づけた情報交換手法を、物理的に独立したハードウェアに実装し、その実現可能性に対する検証を行う。 再帰的伝播法と名づけた情報交換手法は、集中管理機構や調停エージェントなどの特別な仕組みを必要とせずにスケジューリングに必要な情報の提供と収集を可能にし,従来には無い独創的なアルゴリズムによって実現される.この手法は,独自の判断基準によって行動計画を立案する自律的な機械に対し,生産活動の整合性を保証するためのプロトコルと見なすことができ,分散型生産システムのアーキテクチャの最下層に位置づけられる基本的なものとなる.言い換えれば,本研究で開発するシステムの上には,さまざまな形態の生産システムを構築することができ,幅広い応用が期待できる. 本年度は、8台のパーソナルコンピュータ(以下PC)を相互に接続し、各PCを工作機械に見立てた分散型生産システムのプラットフォームを構築した。各PCには、UDPをベースとした通信環境を設け、再帰的伝播法によるデータ交換を行うためのプログラムを実装している。この検討により、それそれのPCが管理するスケジュールの整合性を維持する仕組みを実現することができている。 本年度の検討により、スケジューリングを行うために必要な情報を整理・抽出することができ、また実際にハードウェアに実装することで、その有効性を確認した。
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