研究概要 |
今年度は,顔と視線の方向を用いた次世代インタフェースの1つとして,電動車椅子の知能化を行った.電動車椅子は市販のものを用い,それをコンピュータからシリアル通信経由で動かせるように改造した.その上で,小型カメラとパーソナルコンピュータからなる顔・視線計測システムを車椅子上に搭載し,1時間程度のバッテリー駆動ができるようにした. 顔と視線の方向を用いたインタフェースとしての基本的なインプリメンテーションは,(1)顔の向いている方向へ進む,(2)停止状態でうなずくとスタート,(3)走行状態で首を振ると停止,(4)視線の向きが顔の向きと異なる場合にはわき見をしていると判断して速度や回転半径を抑える,などである.ここで,うなずき,首振りの認識は,複数のユーザの動きを計測することでパラメータを決定した.また,わき見を判断するための顔と視線の方向の差についても,同様にユーザの挙動を計測した上で決定した.また,超音波距離センサをロボットの周囲に配置することで,壁などの障害物を検知し,たとえ顔がそちらを向いていても衝突を回避できるような機能も開発した.これにより,走行の安全性が保たれるようになった. また,以上のように構築したシステムを用い,屋内・屋外のさまざまな環境において走行実験を行った.その結果,屋内では,廊下のように狭い場所でも問題なく走行することが可能であることが分かった.また屋外では,太陽の方向によってはカメラ画像中に太陽が写りこんでしまい,画像が飽和してしまって画像処理ができなくなることが分かった.これはCCDカメラの特性であるので,カメラの配置を変更する以外には解決しようがないと思われる.しかし,それ以外には屋外でも安定した顔の認識と車椅子の操縦ができることが確認できた.
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