研究概要 |
本申請では、研究目的であるマイクロマシンを用いた音響境界の特性制御に関して研究を進めてきた、本年度は昨年度の成果に基づき、1)制御用マイクロマシンとしてバルーンアクチュエータを採用、2)実験的および解析的検証に基づいた音響特性可制御システムの構成、の2点について取り組んだ。 本研究では音響境界の構造としてヘルムホルツ共鳴器アレイを採用し、一つ一つのヘルムホルツ共鳴器構造にマイクロバルーンアクチュエータを組み込み、その構造パラメータを可変にすることにより音響境界の音響特性を制御することにした。構造パラメータを可変にすることにより、個々のヘルムホルツ共鳴器の音響インピーダンスを制御することが可能となるため、反射、吸収、透過特性についてさまざまな特性制御が期待できる。具体的には測定系の仕様に合わせた4mmφの円形薄板構造に、20個のマイクロバルーンアクチュエータを組み込んだ可変特性ヘルムホルツ共鳴器を実現し、入射音や所望音響特性(吸音率、音響インピーダンス値)に応じて音響境界の音響特性を制御することに成功した。一つの音響孔のサイズは700μm×3mm、深さ3mmとし、アクチュエータは半導体マイクロマシーニングを用いて製作した。 実現したシステムは、入射音の検知情報に基づきコンピュータから指令信号が各アクチュエータの形状を制御し、音響境界の音響特性を所望の状態に導くという構成になっている。 以上の成果から本研究を,通して、マイクロマシンを用いて音響境界の特性制御が可能であることを示すことができた。微小な構造を用いて音響境界を実現することの利点に、適応性を付加することの可能性を示すことができたといえる。今後はこの新しい知見を生かすために、さらに詳細な検証と発展の努力を続ける所存であり、二年間の支援に深く感謝する次第である。
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