研究概要 |
本研究では,太陽発電衛星用送電アンテナに適したキャビティ付スロットアンテナの開発を目標として検討を行った.送電アンテナは約250万素子から構成される巨大なフェーズドアレーアンテナである.したがって,製作の容易性を考慮したアンテナ素子の開発を行わなければならない.そこで,キャビティ側壁をポストで構成したキャビティ付スロットアンテナを提案した.ポスト側壁構成キャビティ付スロットアンテナは,上下2枚の導体板にピン打ち等を行うことでアレーアンテナを製作できるので,製作が容易でかつ大規模アレーアンテナの製作に適している.また,送電アンテナを軽量化する点においても有利である. 本研究においては,本年度次に示す成果を得ている.アンテナ素子側壁を構成するポスト間隔について検討を行った.ポスト間隔を狭くすることで,側壁が導体板の場合と同様の特性が得ることができる.しかしながら,必要なポスト本数が増加し,容易な製造を実現できない.よって,所望の特性を実現可能なポスト間隔を明らかにする必要がある.ここで,送電アンテナ素子の寸法はχ軸方向に75mm,y軸方向に90mmであり,高さは特に指定されていない.本研究においては,高さ12mmのアンテナ素子を仮定し,ポスト間隔Δについて検討した.Δが3mm,7.5mmおよび15mmのいずれの場合についても,送電周波数2.45GHzで20dB以上のリターンロス特性を実現できることを明らかにした.さらに,アンテナ素子の高さを12mmから6mmあるいは3mmと薄形化した場合でも,ポスト間隔Δを15mmとして,素子の設計が可能であることを明らかにした.以上のことから,アンテナ設計に有効な方法が明らかになった.
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