C_7F_<16>を材料としたプラズマCVD法でアモルファスフルオロカーボン(CF)膜を堆積した。XPSでF/C組成比を、静電容量測定とエリプソメータによる膜厚測定から比誘電率ε_rを、正極性針対平板電極系絶縁破壊試験で絶縁耐力をそれぞれ測定し、熱処理(100〜300℃)後の膜厚減少分から耐熱性を評価した。これらの結果から(1)材料のガス圧依存性(30〜80Pa)、(2)He混合(0〜30Pa)の影響、(3)酸素混合(2〜4Pa)の影響を検討した。 (1)では低圧ほどF/C比が上昇しε_rは2.1程度まで下がったが、同時に堆積率も低下し耐熱性試験時の膜厚減少幅も大きくなった。絶縁耐力は2MV/cm以上であった。材料ガス圧による膜質制御では耐熱性向上と誘電率低減の両立は難しかった。類似の巨大分子材料C_8F_<18>を用いて堆積したCF膜でも比誘電率は2.5以下、絶縁耐力は1MV/cm以上であった。 (2)ではHe増加に伴いε_rが低下し(1)同様の傾向が見られた。加えて、堆積中のプラズマ状態が安定して膜質のばらつきが減り再現性が向上した。 (3)ではCF膜からのC原子引き抜きによるF/C比増加即ちε_r低下を期待したが、酸素活性種のエッチング効果が強く数Paの混合で堆積率が著しく低下し、6Pa以上では膜堆積できなくなった。2〜4Paにおける堆積膜の膜質はばらつきが大きいものの、中には低いε_rが得られた例もあり、多孔質構造のような空疎なCF膜が得られた可能性が示唆される。 続いて、絶縁破壊部再生を模擬し、CF膜で被覆済みの面と基板が露出した面が接する個所へのCF膜再堆積を試みた。膜厚の時間変化から、再堆積開始時は露出面への堆積の方が速やかに進む傾向が見られたが、再堆積が進行した後は、被覆面と露出面に堆積したCF膜の厚さは同程度になった。
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