研究概要 |
平成12年度は以下のような実験検討を行った。 (1)消弧媒体プラズマの安定点弧維持条件の把握 消弧媒体は基本的にプラズマを消滅させる能力の大きいガス特性を持っている。そのため,100%消弧媒体ガスで誘導熱プラズマを点弧することは極めて難しい。そこでまず,現有プラズマトーチを用いて,大気圧30kW誘導Arプラズマを定常維持しておき,そこに消弧媒体を次第に流し入れてプラズマ定常安定維持できる消弧媒体流入量条件を見いだす実験を行った。ガス種としてはSF_6,N_2のほか,Air(空気遮断器消弧媒体),H_2(油遮断器消弧媒体),CO_2(解離性ガス←遮断特性解明)を対象とした。その結果,SF6の場合,混合割合が3%を超えるとプラズマの安定維持が難しくなることを見出した。対象とする全てのガス種の熱力学・輸送特性を計算によって求め,基礎データを蓄積できた。 (2)多波長同時スペクトル測定装置の設計開発 上記(1)と同時進行で,分光器Jobin Yvon HR-320(現有)を用いた多波長同時スペクトル測定装置の設計開発を行った。これにより,相異なる三波長における線スペクトル放射強度の時間変化を同時に観測でき,温度の時間変化などを算出できるようになった。 (3)一次元反応論的非平衡熱プラズマ解析プログラムの開発 N2,SF_6プラズマを対象として,時間依存一次元反応論的非平衡モデルを構築した。このモデルではプラズマ内の多数の反応の反応速度を考慮して,反応論的な非平衡状態におけるプラズマの組成を計算できるようにしている。ここでは,時事刻々計算した非平衡組成から,熱力学・輸送特性を計算し直し,より実際に近いモデルが構築できている。
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