研究概要 |
環境調和型電力システムにおける負荷周波数制御に関する研究は,近年増加してくる分散電源の一つとして,まず太陽光発電や風力発電の基本的性能について検討を実施した。特に風力発電においては,小型風力発電機を当大学キャンパス内において,代表的な地点に設置し,その発電量などを実測した。観測地点に関しては,計算機シミュレーションにより,有限要素法を用いて大学内の建物を各々モデル化し,集風効果の最も高い地点を算出した。その結果,小型風力発電機を可動させたことによる発電時の騒音,風車の影,発電効率などの問題点が明らかになった。また,風力発電機を系統に連系する際に,直接連系する場合とバッテリなどの貯蔵装置を経由して連系する場合についても検討を行った。特に自然現象である風は,その日の天候に大きく左右される。そのために電力貯蔵装置を導入した系統の場合には,分散電源の系統連系に際し与える影響が小さいことを明らかにした。次に分散電源の計算機シミュレーションを実施するため,EMTPを用いて系統連系装置のモデル化について検討を実施した。このとき,連系のためのインバータに関しては定電流制御を実施するか,定電圧制御を実施するか,について調査ならびに検討をした。そして,当大学に設置されている送電系統シミュレータを用いて,分散電源の容量やその制御手法についての基礎的検討を行った。 周波数制御においては,分散電源が設置されていない系統と設置されている系統との比較検討をEMTDCを用いた計算機シミュレーションで検討を実施した。このとき用いたモデルは,2地域連系LFCモデルであり,各地域に火力発電所と水力発電所が存在しているモデルである。この結果,分散電源で周波数制御を実施した場合,周波数偏差の収束性が向上することを明らかにした。
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