本研究は側壁式電磁誘導浮上方式における非接触集電システムを対象としている。平成12年度以前に製作した非接触集電装置について、基礎特性の測定を行った。本実験装置では、直線軌道上を高速で移動体が動作する。最大速度は約5m/secの設計となっているが、実際の実験装置では7m/secまでの移動速度を実現できた。軌道の側面に集電用地上コイル群を配置し、移動体側に設置した永久磁石から発生する磁束により誘導起電力が発生し、集電コイルに電流が流れる。ここで、永久磁石は表面磁束密度0.4Tのネオジウム系を用いており、集電コイルは樹脂により固定された空心型である。集電コイルの形状を決定するため、電磁誘導システムについてすでに作成している磁気浮上鉄道における電磁解析プログラムを発展させ、集電コイル電流の解析を行った。そして、移動体側(励磁側)の極数や形状、集電コイルの形状や集電コイルピッチ、さらには設置に必要な物理的条件を考慮した集電コイルの設計を行った。そして最も集電コイルにエネルギーが最も効率よく供給される条件を求め、実際に集電コイルを作成し、実験を行った。実験には集電コイルの電圧・電流波形を測定するために高速サンプリングのメモリハイコーダを用い、移動体位置および速度測定にはフォトセンサを用いた。解析結果と実験による測定値はほぼ一致した。若干の誤差が出たが、それは解析プログラムにはコイルを線電流として近似していること、コイルが手巻きのためにインダクタンスに理論値との違いがあることなどが原因として挙げられる。また、実際に得られた集電コイルの電流波形より、実際に移動体側への電力の貯蔵について汎用回路シミュレータを用いて解析を行った。今後の課題として、集電コイルのさらなる効率向上、集電後の電力貯蔵部分についての検討などがあげられる。
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