研究概要 |
本研究では、将来予想されるパワーケーブルの高温超電導化を念頭において、これまで行ってきた数値計算を発展させ、数値計算を用いてスパイラル状集合導体の交流損失評価を行うことによって、(1)現在試作されている主な集合導体における交流損失の数値計算を行い、集合導体における交流損失の主たる要因が何であるか(多層導体での多層化の効果、スパイラルピッチの影響等)を明らかにする、(2)集合導体の構造、超電導線の形状をパラメータとして、いろいろな集合導体の交流損失の数値計算を行い、集合導体における交流損失の低減に対する考えうる方策の有効性を明らかにする、(3)損失低減化の方策を施したモデル導体を製作し、損失低減化の方策の有効性を実験によって確認することを目的とする。なお、本研究は大容量の実用集合導体を開発するものではなく、集合導体における損失低減の方策を明らかにすることを目指しており、将来の低損失パワーケーブルの開発に対する指針を構築することを目的としている。 本年度は、まず直線状集合導体における交流通電損失の数値計算を行った。(Applied Superconductivity Conference 2000で発表(論文タイトル"Current Distributions and AC Transport Losses for Simple Parallel Conductor Composed of Ag-sheathed(Bi,Pb)-2223 Multifilamentary Tapes"))次に、スパイラル集合導体における磁場計算プログラムの開発を行い、現在はその磁場計算プログラムを発展させスパイラル集合導体における交流通電損失計算プログラムを開発中である。また、豊橋技術科学大学第3工学系・太田教授の指導のもと、集合導体の試作に向けたBi2223超電導多芯テープ線材の製作を行った。 来年度は、計算を継続し、スパイラルピッチと損失の関係を明らかにするとともに、計算結果をもとに低損失が予想されるスパイラルピッチを持つ多層スパイラル導体を試作し、その交流通電損失を測定して、電流分布の均一化による損失低減効果の有効性を確認する。
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