本研究では、将来予想されるパワーケーブルの高温超電導化を念頭において、これまで行ってきた数値計算を発展させ、数値計算を用いてスパイラル状集合導体の交流損失評価を行うことによって、(1)現在試作されている主な集合導体における交流損失の数値計算を行い、集合導体における交流損失の主たる要因が何であるか(多層導体での多層化の効果、スパイラルピッチの影響等)を明らかにする、(2)集合導体の構造、超電導線の形状をパラメータとして、いろいろな集合導体の交流損失の数値計算を行い、集合導体における交流損失の低減に対する考えうる方策の有効性を明らかにする、(3)損失低減化の方策を施したモデル導体を製作し、損失低減化の方策の有効性を実験によって確認することを目的とする。茸お、本研究は大容量の実用集合導体を開発するものではなく、集合導体における損失低減の方策を明らかにすることを目指しており、将来の低損失パワーケーブルの開発に対する指針を構築することを目的としている。 前年度には、まず直線状集合導体における交流通電損失の数値計算を行った。平成13年度は、数値計算を更に発展させスパイラル集合導体における磁場計算プログラムの開発を行い、スパイラルピッチと磁束分布・電流分布および交流損失の関係を明らかにした。計算結果から、スパイラル導体内の個々のテープ内に侵入する磁束は、テープ自身の作る自己磁界によって大きくなり、そのテープと同じ層内の他のテープの作る磁界は磁束侵入量を小さくする方向に働き、他の層が作る磁界は磁束侵人量に影響しないことが明らかとなった。(ISS2001で発表(論文タイトル"Numerical Calculations on Magnetic Field and AC Transport Self-field Losses for Multi-layer Superconductor Cables"))
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