研究概要 |
本研究では,カーボンナノチューブ(CNT)を将来的に超微細集積回路内での配線材料として応用するため,走査型トンネル顕微鏡(STM)探針先端によりCNTをマニピュレートし微小領域に対してワイヤリングする技術の開発を目的としている.そのため,以下に示す3つの研究を柱に実験を行った. [1]微細加工用STMの製作:CNTのマニピュレーションに適したSTMヘッド設計し,開発した.主な特徴としては,広域スキャン(X-Y:16×16μm^2,Z:1.2μm)が可能なチューブピエゾを採用し,探針の任意走査を可能にするプログラムの開発,±3mmのX-Y方向の粗動機構,除震機構ならびに徹底的なノイズ対策等を行った.これにより,タングステンSTM探針により広範囲にわたってCNTを探索し,フィードバックループを切った状態で探針を動かすことでCNTの任意方向への移動が可能となり,動作を確認した. [2]マイクロキャピラリーによるCNTの任意配置:先端直径が1μm以下のガラス製のキャピラリーを3次元手動マニピュレーターに取り付け,画面倍率3000倍のCCDカメラ直下でCNTを2次元的に任意配置するシステムを開発した.これにより2本のCNTを組み合わせ,"十字","T字","平行"などの形状に0.5μmの精度での配置が可能なことを確かめた. [3]STM探針によるボンディング:北陸先端科学技術大学院大学において,SEM/STM複合装置を用い,間隔4μmの金属電極間に橋渡ししたCNTに対し,パルス電圧の印加によってボンディングを行った.電極としてTiを用いた場合,STM探針からの電界蒸発現象によりTi微粒子がCNT上に堆積され,伝導度が加工前の3×10^<-6>A/V(非線形)から加工後は5×10^<-4>A/V(線形)へと2桁の改善が認められた.これらの成果については,2002年春の応用物理学会での発表が決定している.
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