研究概要 |
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の微細な構造を作製する方法について検討し、その圧電性について定量的な評価を行なった。 作製方法については、これまでに本申請者らが提案したPZT前駆体溶ゲルに対する直接パターニングを改良し、酸化亜鉛膜を用いた微細な「型枠」を併用する手法を新たに考案した。本提案手法により、厚さ1μm,直径160μm程度のPZT構造体を一度の焼成で作製することに成功した。また、従来の方法に比べて形状の乱れが少なく、再現性の向上も望めることを確認した。 次に、本提案手法により作製したPZT構造体を用いて超高周波圧電トランスジューサを作製し、電気的特性の評価を行なった。その結果、2GHz帯において、k_t〓20%の比較的大きな電気機械結合を持つことを確認した。 本提案手法では、PZT膜を任意の微細な形状に加工する際、酢酸水溶液とアルコールを使用するだけであり、基板などに対する影響に関して、有利な方法であると言える。 一方、熱処理時の昇温ならびに降温時の雰囲気ガスや温度勾配による影響について検討したところ、緩衝層への影響が大きいことが確認された。このことについて、緩衝層を構成する材料選択までも含めて、現在詳細な検討を行っている。
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