高いガラス転移温度(Tg)を有するフォトリフラクティブ(PR)高分子や分子状ガラスを合成した。いずれの場合でも電荷輸送部位と電気光学活性部位を同一分子中に含む材料であり、加工性、薄膜の形態上の安定性に優れていた。電気光学活性部位の配向をTg以上のポーリングにより行い、電界を印可したまま室温程度にまで温度をさげることで電気光学部位の配向の固定化を行った。双極子の配向による内部電界を利用することで、外部電場を印可することなくPR特性が発現することを分子状ガラスに関して確認した。しかしながら材料のTgは60℃程度であり、色素の脱配向による回折効率の経時的減少が著しかった。より高いTgの材料を合成する必要があると考えられる。それと同時にPR特性の温度依存性を分子状ガラスに関して調べた。回折効率は温度に対して最大値を示した。温度上昇に伴い電気光学活性部位の運動性が増加し、外部もしくは空間電場に対する配向性の向上が期待できるが、過度の分子運動性や暗導電性の増加による空間電場の減少が原因となって回折効率が減少していくと考えられる。応答速度に関しては2つの時定数を実験的に定め議論した。空間電場形成のための速い成分は、温度の上昇に伴い減少した。遅い成分は形成した空間電場に対しての色素の再配向によるものと考えた。高分子-体型の材料に対しては予備実験として可塑剤を添加しPR特性を評価した。トリアリールアミンを主鎖に含む高分子では光導電性が増加し速い応答を示すことがわかった。上記の高分子は150℃以上のTgを持ち経時安定性に優れたゼロ電場PR特性が期待できる。ポーリング条件の検討を行っている。
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