申請者の考案したマスクレス色素拡散法により、フルカラー高分子EL素子を実現するために、本年度は、色素拡散条件を最適化する検討を行った。この目的のため、電気的ノイズの影響を受けにくい小スポット赤外温度センサを用いて、ITO電極をジュール加熱している際の温度変化を調べた。その結果、これまで幅3mmのストライプ状電極を3mm離すことによって得られていた温度差と、同幅の電極を1mmだけ離す事によって得られる温度差とでは、殆ど変わりない事が判った。これは、ITOの熱伝導性がガラスに比べて非常に優れているためであると考えられる。このことにより、本方法が当初予想していたよりもさらに高精細、かつ、多様な形状への適用が可能である可能性が判明した。
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