本年度は、デバイスを作製するためのBe系新材料の開発を行った。以下に具体的な内容を述べる。 1.ZnCdSe/BeZnTe超格子をInP基板上に分子線エピタキシー(MBE)法により成長させ評価した。層厚比を変えることにより15Kにおけるフォトルミネッセンス(PL)測定においてピーク波長740nm(赤)から507nm(青緑)までの良好な発光が得られた。 2.BeZnCdSeの成長及び評価を行った。15KでのPL測定により、Be組成8%の格子整合した試料においてピーク波長572nm、半値幅8.8meVの良好な特性が得られた。さらにMgSe/BeZnCdSe超格子とすることにより525nmから470nmまでのPLピークの短波長化が得られた。 3.ラジカル窒素ドープしたBeZnTeの成長を行った。格子整合した試料では3.12eVの広い禁制帯幅と10^<18>cm^<-3>以上の高p型ドーピングが得られた。 4.MgSe/BeZnTe超格子のMBE成長を行い評価した。試料の屈折率を測定したところ、この超格子をpクラッド層、1.で述べたZnCdSe/BeZnTe超格子を活性層とした場合にレーザとしての充分な光閉じ込め効果があることが分かった。 5.これまで開発してきた材料を組み合わせてLEDを試作した。具体的には活性層にZnCdSe/BeZnTe超格子、pクラッドには窒素ドープBeZnTe、またnクラッドには塩素ドープMgSe/ZnCdSe超格子を用いた。作製したデバイスに室温においてパルス電流を注入したところ、ピーク波長562nmの黄緑色発光が得られた。 6.InP基板上ZnCdSeの高品質化のための新たな手法として、BeZnTeバッファーの導入を行った。これにより10^3cm^<-2>台の低い欠陥密度が達成された。
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